晴海22歳の闘病日記 ~死ぬまで生きた~ -4ページ目
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カタギリ先輩

前に少しだけ触れた先輩のことです。
よくお見舞いに来てくれるから、
これからの日記にも
たびたび書くと思うので
どんな人か、書いておきます。

職場では僕は年少ですから
先輩はたくさんいて、
みんな良い人ばかりなのですが、
中でも特に親しくしていただいていたのが
カタギリ先輩です。

こう言うと失礼かもしれないんですけど
同僚というより、友達に近いです。

僕の勤務先は比較的年齢層が高くて
一番若いのが僕、
その次に若いのがカタギリ先輩でした。
と言っても僕より7歳ほど年上です。
他に二十代の隊員はいません。

そんな中で、異例(だと思います)の隊長を
立派につとめていて
みんなをまとめてくれています。
最初は若造の癖になんて言われたり
色々と苦労をしたみたいです。

先輩は、普段は無口で、
話すときも方言をほとんど使わないし、
口調もぶっきらぼうです。
表情もそんなに豊かな方じゃない。
童顔で僕よりも年下に見えるのに
先輩のまわりの空間はいつも
独特の緊張感があるような感じがしました。

ちょうど僕が入隊したときに
先輩も隊長になって
二人ともいわば新人で、
それで仲良くなりました。
怖そうだと思っていたのに、
何かと気にかけてくれて
本当はすごく優しい人だと
他の先輩たちに言って回りたい気になりました。

もちろん仕事上のことで
こっぴどく叱られたこともあったけど
非番の日には一緒に遊びに行ったり、
僕たちはとても仲が良かったです。

僕が入院してからも、
本当にしょっちゅう
お見舞いに来てくれています。
あまりに律儀に毎週来るので、僕は、
そんなに来なくてもいいと言ったことがあります。
先輩の答えを今も覚えています。

「俺は美人ナースを眺めに来てるんだ」

それを聞いて僕は呆れてしまったのですが、
(あんた奥さんいるだろう?って
突っ込みまで入れてしまいました)
後で知った話では、
そのとき既に先輩は僕の家族から
僕の病状を全部聞いていたそうです。


なにかもっと色々書くことは
あると思うんですが
長くなりすぎるのでこれで終わりです。

もう先輩と仕事ができないのは残念ですけど
死ぬまで友達でいてくれたら
嬉しいと思います。
このブログのパスを渡して
締めくくってもらうのをお願いしようと
密かに思っています。

紅葉の季節

今年の紅葉は今がちょうど見頃だそうです。
紅葉狩りなんて今までしたことないのに、
見られないとなると妙に見たくなります。
テレビのニュースの画面に映っているのを見て、
とても綺麗だと思います。

見に行くことはできないけど、
今まであまり気に留めていなかったものを
綺麗だと気付くことができました。
もし僕が元気なままだったら、
このことに気付くまで、
どれだけ長い年月がかかっていたかわかりません。
僕は少し、満足です。

寒い朝。

朝になって、だいたい熱が下がっていて
良かったです。
ちゃんと平熱に下がれば
また少し長めの文章を書きたいと思います。

病室は空調が効いていて、
寒さや暑さがわかりません。
窓も、ベッドからはちょっと離れていて
外の道路を歩く人の様子は見えません。
お見舞いに来てくれる人や家族が
軒並みコートを着ているので、
きっともうすっかり冬なのだろうなと
思います。

冬の朝の寒さを体験したくて、
看護婦さんに無理を言って
窓を開けてもらいました。
冷たくて鋭い空気を深く吸って
胸に溜めておきました。

僕の病室は個室で、
普段は何かと寂しいものなのですが
今朝初めて、個室で良かったと思いました。

今日はいまいち。

今日は朝からずっと気分が良くなくて
うとうとして過ごしました。
咳が出て苦しかった。

昨日、職場の先輩のブログを発見して
ちょっと笑いました。
アメブロじゃないので
お気に入りブログには入れられませんが
今度機会があったら紹介したいです。

ごめんなさい。

今日は僕の彼女がお見舞いに来てくれました。
正直、発熱がピークで
とても気分が悪かったのだけど、
起きて話をしました。

「悪いけど鬱陶しいから
もう来ないでほしい」って言いました。
直球過ぎて申し訳ないけど
「僕と別れてほしい」って言いました。
怒って帰ったから
もうたぶん二度と来ないんじゃないかな。

傷つけてごめんなさい。
でもできれば僕を憎んで欲しいから。
僕が死んだとき、笑ってほしいから。
我侭でごめんなさい。

それじゃ、さよなら。
他の誰かと幸せになってくれますように。

今の僕

今日は少し熱があるみたいで、
あまり長く起きているのは無理っぽいです。
この日記を書くのと
1時からテレビを見るほかは、
寝ていようと思います。

今日は、今の僕の体調を説明します。

基本的にベッドの上での生活をしています。

倒れてから手術を受けるまでの
一ヶ月ほどの間に、
随分と筋力が落ちてしまったらしく、
今は自力で立ち上がるのがやっとです。
腕力はなんとか少しはましなので
何かにつかまれば歩けると思うんですけどね。

ベッドに傾斜をつけて背もたれにして
座っていることは出来るのですが、
長時間体を起こしているのは
少ししんどいので、
横になっている時間の方が多いです。
ときどき起きて、
ネット繋いだり、お見舞いの人と話したり、
後は少しテレビを見たりしています。

もう少し元気になれば
筋トレをして、ちゃんと歩けるようになろうと
思っていたのですが、
どうも今よりあまりよくならないらしいので、
無理みたいで、残念です。

手術を受けてからは
あまりに咳が出て困るということは少なくなり
嬉しいのですが、
今もたまに咳き込むとやはり苦しいです。
どっか色々転移があるらしいと聞いていますが、
点滴か薬かのおかげなのか
僕にはあまりわからないです。

こんな感じで過ごしています。
ただ眠っているだけでは時間が惜しいので
何か出来ないか考え中です。

今日に限って。

今日はいつもより気分がいい。
こういう日に限って、
お見舞いに来る人がいません。
とても仲良くしていただいている消防の先輩が、
しょっちゅう来るんですけど、
今日は仕事なんでしょうね。
少し、羨ましいです。
最初は僕もすぐに仕事に戻れると思っていたから。
戻りたいな。

僕のこと

僕は、今年の六月に22歳になりました。
高校を出て、消防士になり、充実した毎日を過ごしていました。
先輩たちにはかわいがってもらっていたし、学ぶことも本当に多くて、いい仕事を選んだって思っていました。
体調がおかしいと思ったのは、今年の初めでした。
なんか変だと思いながら、風邪か何かだと判断して放っていました。
すぐに治ると思っていたのにやけに長引いて、九月の上旬には無様なことに仕事中に倒れてしまい、そのまま入院することになりました。
十一月の二日に手術を受けて、自分では少し体調も上向いて来たと思っていたんですが、そうではなかったみたいです。
これから、思うことやいろいろなことを、書き留めていきたいと思います。
体調がすぐれなくて、日が開いてしまうこともあるかもしれませんが。
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